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歴史

【赤坂 第3回】光景と菓子見本帳

14代店主・黒川光景(みつかげ・1871-1957)は赤坂の地で40年以上にわたり店主を務めた人物で、菓子づくりに深い情熱をもっていました。一方で、菓子品評会の審査員、東京菓子業同盟会の副会長や赤坂区会議員を務めるなど、店の経営だけでなく、広く業界や地域に目を向け、その発展に尽力しました。
大正の半ばころになると、店の運営を後の15代・武雄(たけお・1893-1975)に任せ、菓子に関する古い文献を買い集め調査研究をするようになりました。集めた約3000冊に及ぶ食関係の文献や資料は、今でも和菓子の研究に大いに役立っています。また、大正7年(1918)には菓子の見本帳を作成しています。見本帳とは、現代でいう商品カタログのようなもので、とらやには元禄8年(1695)のものをはじめ、約40冊が残っています。光景は受け継がれてきた意匠に新たな菓子を加え、約1,300もの菓子の絵を画家に描かせて、計6冊からなる新しい見本帳を仕上げました。『ささ栗』『初霜』『手折桜』『花扇』など今日でもつくられている菓子が多く含まれ、現在も菓子づくりや販売する商品を決める際 の参考に使われています。