「高齢者を大切にする企業の実現」に向けて
2015年より「高齢者を大切にする企業を実現する」を目標に掲げ、豊かな高齢社会実現のために、虎屋が貢献できることは何かを考え、様々な取り組みを行なっています。ご高齢の方の心と体について理解を深めていくなかで、普段見過ごしてしまうような小さな不便をみつけることもできます。それらを改善していくことは結果として、ご高齢の方だけでなく、小さなお子様や障がいをお持ちの方、外国の方などにとってもご利用いただきやすいということにつながっています。
「高齢者を大切にする企業を実現する」という目標を通して、あらゆるお客様に、おいしい和菓子をいつまでも楽しんでいただけるような商品開発やサービスが実現できるよう、社員一人ひとりが取り組んでいます。
商品開発

年を重ねるに従って、噛む力・飲み込む力が徐々に弱くなり、今まで好んで食べていたものが食べづらく感じる方もいらっしゃいます。『ゆるるか』は、「羊羹の味わいをいつまでも楽しんでいただきたい」、「ご高齢の方とそのご家族がお過ごしになる、和やかなひとときに寄り添える菓子をつくりたい」という思いから誕生しました。ほどよくやわらかな食感と、餡の風味をしっかりと感じていただける商品です。
- 『ゆるるか』はユニバーサルデザインフードです。
パッケージの改良
カップ菓子のパッケージ改良
カップ容器のフタを幅広くつくることで、指先が不自由な方や力の弱い方にも開けやすいパッケージに変更しました。

小形羊羹のパッケージ改良
外箱の開け口部分のミシン目を丸い形状に変更し、指をひっかける表面積を大きくしました。また、開け口を大きな矢印で示すことで、視覚的にもわかりやすくしました。

赤坂店のリニューアル

2018年10月にリニューアルした赤坂店では、多機能トイレやエレベーター、車椅子をご使用のお客様用の駐車スペースの設置など、全館バリアフリーを目指した店舗設計を行ないました。2階の売場では、車椅子の方にもご利用いただきやすいよう、通路の幅や商品台の高さを調整し、さらには商品をより近くでご覧いただけるように、商品台の形状も工夫しました。3階の菓寮も同様に、車椅子の方にご利用いただきやすい設えにしています。
虎梅屋
そのほか、店舗関連の取り組みとして2018年11月に、65歳以上の方が働く店「虎梅屋(こうめや)」を、京都・北野天満宮前にオープンしました。
年齢を重ねた方々が「人生の中で培ってきた経験・知恵を生かして、無理せず楽しく働く」をコンセプトとし、製造や販売担当者がディスプレイ方法や接客等に自らアイディアを出し合い、生き生きと働いていました。(2025年1月より一時休業中。再開は未定です。)
企画展の開催

東京ミッドタウン店ギャラリーにて、「豊かな高齢社会」をテーマにした企画展「いつまでも甘くたのしく」を開催しました(開催期間:2016年3月23日~5月30日)。高齢社会についての基礎知識や、「こんなものがあったらいいのに」というご高齢の方々の夢のアイデアとその背景にある心の紹介を通して、多様性溢れるご高齢者の姿や、年を重ねることの豊かさを感じていただける展示となりました。
展示に合わせ、噛むことが困難な方にも楽しんでいただきたいという思いから、干菓子『笑栄(えみさかえ)』を開発。菓子の中央にくぼみをつけることで口溶けをよくし、口内を傷めることがないように小ぶりで丸い形状にしました。
- 現在は販売しておりません。

社内研修
高齢になるにつれ、音の多い環境で会話を聴き取りづらくなったり、思うように指先が動かなくなったりします。そのようなご高齢の方の体と心の状態を学ぶこと、高齢者疑似体験の研修などを通して、ご高齢の方に対する理解を深めています。実際に店頭でお客様に接する販売員だけでなく、製造や流通、事務部門の社員など、さまざまな部署の社員が参加し、各々の業務に生かしています。
