『あじわい』No.231(2026 SUMMER)に寄稿しています
2026.07.06
掲載情報
関西で親しまれている上生菓子の製法に「こなし」があります※。餡に小麦粉などを混ぜて蒸し、もむ製法で、名称は「もみこなす」に由来すると考えられます。意外に思われるかもしれませんが、菓子としての羊羹の最も古い製法を今に伝えるもので、江戸時代には「もみ羊羹」「こなし羊羹」などとも呼ばれていました。「こなし羊羹」の名はよく使われたのか、明治37年(1904)刊行の菓子製法書にも見えます(上図)。しかし、「羊羹」といえば煉羊羹が主流になるにしたがい、「こなし」が一般的な呼び名になったと思われます。
ちなみに虎屋では、「こなし」と同じ製法を、江戸時代には「羊羹仕立」、明治時代後期以降には「羊羹製」と呼んでいます。「羊羹」の名前や製法を重視し、残したいという強い思いがあったのかもしれません。
※関東では、餡に求肥や薯蕷(山芋)の生地を混ぜて煉りあげる「煉切」(ねりきり)の方がなじみ深い。
羊羹の変遷については、虎屋文庫著『ようかん』 (新潮社、2019年)をご参照ください。
虎屋のウェブサイト上に掲載しております内容(上記の記事内の文章を含みます)に関する著作権その他の権利は虎屋が有しており、無断に複製等行いますと著作権法違反等になります。当ウェブサイトに関する著作権等については、以下のページをご覧下さい。