『あじわい』No.231(2026 SUMMER)に寄稿しています
2026.07.06
掲載情報
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。

「おさらい集」一~三(各12.5×18.2×1.0㎝)

「二」に収録されている「子守」の頁
「おさらい集」は、和菓子屋ならではの掛紙の見本帳で、木版の多色刷物です。日本舞踊や長唄(ながうた)、清元(きよもと)などの日本の伝統芸能のおさらい会(発表会)で配る「蒔物菓子(まきものがし)」のために、演目にあわせたデザインが100種類以上も掲載されています(3冊)。昭和30年(1955)頃から平成中頃まで、重版され使われていました。
蒔物菓子とは、出演者が関係者に配るお土産のことです。最中や、紅白の饅頭などのほか、演目にちなんだ意匠の生菓子が好まれています。なお、蒔物とは、「蒔」に種をまく意があるので、「まく」から「配るもの」の意味になったといわれています。
とらやでは、現在、木版刷のおさらい集掛紙のご注文はお受けしておりませんが、虎屋文庫は版木を版元から引き取り、菓子の文化を伝える資料として所蔵しています。
例として、映画「国宝」にも登場した、可憐な娘姿の藤の精が踊る舞踊「藤娘」をご覧ください。登場する折にかぶる黒の塗笠と、手に持つ藤の枝が描かれています。


「版木」(上)灰色:藤の枝や塗笠の輪郭の部分、(下左)黒:塗笠、(下右)赤:塗笠の紐

(上)緑:藤の葉と花房、(下)紫:花房
「おさらい集」や版木は、2026年6月10日(水)から9月23日(水・祝)まで、「江戸木版画と浮世絵展」(於・虎屋 赤坂ギャラリー)にて展示しております。この機会にぜひご来場ください。
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