近衛家煕と栗粉餅
2004.12.16

茶の湯の貴重な記録『槐記』
近衛(このえ)家は公家の中でも名門の家柄で、家煕(いえひろ・ 1667~1736)も関白や太政大臣を歴任しました。一方、書や茶道など、文化人として様々な分野で才能を発揮しています。
家煕の言行を集録した書『槐記(かいき)』(山科道安著)は、江戸時代の公家茶道を知る上で随一の資料とされ、四季を通じての茶会が挿絵つきで記録されています。「青串団子三つ黄白赤」「カステラの蒸し返し」など茶会に用いられた菓子の種類も豊富です。
虎屋に栗粉餅を注文
享保16年(1731)の項には虎屋に栗粉餅を注文した折のエピソードが記されています。栗粉餅は室町時代から日記や茶会記に見える菓子で、餅に栗の粉をまぶした素朴なものでした。家煕が翌日に使う栗粉餅を前日の晩に納めるよう、虎屋と亀屋に注文すると、二店とも品質が保てないという理由から断ってきます。結局餅と粉を別にして納めるのですが、家煕は二店の良心的な態度を褒めたということです。
後世、虎屋の栗粉餅はきんとん状で作られるようになりました。現在は御膳餡を求肥で包み、その周りに栗餡のそぼろをつけたきんとんとしてお作りしています(写真)。
なお、餅に栗の粉をまぶす昔ながらの栗粉餅は、今も岐阜県などで作られています。
※この連載を元にした書籍 『和菓子を愛した人たち』(山川出版社・1,800円+税)が刊行されました。是非ご一読くださいませ。(2017年6月2日)
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