『あじわい』No.231(2026 SUMMER)に寄稿しています
2026.07.06
掲載情報
湿粉製「八重霞(やえがすみ)」は、春の代表的なお菓子の一つで、彩り豊かな野山にたなびく霞を思わせます。上下の湿粉製※1はほろりとした独特な食感が魅力。中央は餡を使った羊羹製で、異なる味わいの絶妙な取り合わせが楽しめます。
とらやでは、こうした意匠を、「段物(だんもの)」と呼びます。薯蕷製※2「初桜(はつざくら)」(下・写真参照)も同様で、素材や色が違うだけのように思えますが、よく見ると・・・
「八重霞」は三段とも厚さが均等。華やかな緑・紅・黄が個々に際立っています。対して、「初桜」は上下の白に比べ、紅が控え目に。桜の蕾がほころび、花が初めて咲くさまを表しているのでしょう。
双方、シンプルな意匠に込められた繊細な美学が感じられます。
※1 餡と糯粉(もちこ)・上新粉を混ぜてもみ、こし網で漉してそぼろを作り、枠に入れ蒸したもの。
※2 つくね芋に上新粉と上白糖を混ぜ、枠に入れ蒸したもの。
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