『あじわい』No.231(2026 SUMMER)に寄稿しています
2026.07.06
掲載情報
根津美術館「特別展 虎屋のおひなさま」は、現況を鑑み、
会期末の3月29日(日)まで休館することが決定しました。
残念ながら展示会場で直接ご鑑賞頂くことはできなくなりましたが、今月末まで、根津美術館の構成による展示順に沿って、図録にない画像やエピソードも交えながら、主要な作品をご紹介いたします。

画像※は絵葉書の形で残されていたものです。段飾りを囲う両脇、正面左右のパネルは京都画壇の梥本一洋(まつもといちよう)の作であることから、15代店主黒川武雄との交友関係を考えると、1930年代後半のものと思われます。
戦前は毎年、黒川邸で飾られていました。家族、親族、店員、ご近所の方などが集い、菓子や料理が振舞われ、楽しいひと時だったそうです。
戦時色が濃くなるにつれ、飾られなくなり、以降、21世紀を迎えるまで、倉庫の中に保管されていました。
※便利堂によるコロタイプ印刷で復元した絵葉書の画像を使用。
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左:旧虎屋ビル地下2階の倉庫にあった、頑丈な外箱(下部に車輪がついている)。
右:左の外箱の中には、「(元)仁」「(元)義」「(亨)礼」「(亨)智」「(利)忠」「(利)信」「(貞)孝」「(貞)悌」と墨書された8箱が2段に重ねられた状態で入っていました。それぞれの箱は1段から4段重ねになっており、雛道具の入った桐箱が各段にぎっしりと詰っています。

2000年11月 根津美術館 弘仁亭 をお借りし撮影された段飾り
古い画像を拡大し、これを参考に段飾りを復元しました。
21世紀の幕開けを記念して、2001年1月25日~3月3日まで、旧虎屋ビル2階、虎屋ギャラリーにおいて、約60年ぶりに虎屋の雛人形・雛道具が公開されました。4万人を超えるお客様が御来場下さり、一時は3時間待ちというような状態で、お客様には大変ご迷惑をお掛けすることになりました。
このことが契機となって、根津美術館での展示開催(2006年、2012年、2020年)へと進展してゆきます。
なお、本展示の内容をまとめた図録『虎屋のおひなさま』が根津美術館より刊行されています。
展示作品全ての画像とともに、新たな撮影を加え、作品の特徴、技巧など見やすく構成しています。
また、最新の雛に関する研究を踏まえた論考も掲載しています。
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