和菓子だより

2020.03.17

魅力を探る 湿粉製『八重霞』 

湿粉製『八重霞』2020年3月16日~3月31日迄

湿粉製『八重霞(やえがすみ)』は、春の代表的なお菓子の一つで、彩り豊かな野山にたなびく霞を思わせます。上下の湿粉製※1はほろりとした独特な食感が魅力。中央は餡を使った羊羹製で、異なる味わいの絶妙な取り合わせが楽しめます。

とらやでは、こうした意匠を、「段物(だんもの)」と呼びます。薯蕷製※2『初桜(はつざくら)』(下・写真参照)も同様で、素材や色が違うだけのように思えますが、よく見ると・・・

『八重霞』は三段とも厚さが均等。華やかな緑・紅・黄が個々に際立っています。対して、『初桜』は上下の白に比べ、紅が控え目に。桜の蕾がほころび、花が初めて咲くさまを表しているのでしょう。

双方、シンプルな意匠に込められた繊細な美学が感じられます。

薯蕷製『初桜』
2020年の販売はありません。

※1 餡と糯粉(もちこ)・上新粉を混ぜてもみ、こし網で漉してそぼろを作り、枠に入れ蒸したもの。

2 つくね芋に上新粉と上白糖を混ぜ、枠に入れ蒸したもの。