和菓子だより

2020.04.29

「蒸餅干菓子雛形」 年代不明

菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。

葛饅頭(右頁・右列上から2つ目)、柏餅(同3つ目)などが見える。

作成者・年代不明の菓子見本帳(以下、見本帳)です。一般に見本帳は、現在の商品カタログのように使われたとされますが、こちらは、菓子屋が記録・参考として、他店のものなど複数の見本帳をもとに作成したものと思われます。描かれた菓子は381点。江戸時代中期のものに比べると紅色が目立ち、より華やかな印象なので、江戸時代後期以降の成立と考えられます。

上巻に羊羹・外郎や饅頭・餅などの主に蒸菓子、下巻に落雁・有平糖(飴菓子の一種)などの干菓子が収録されています。意匠、銘に加えて原材料の記載があり、なかでも珍しいのは、ごまめ糖に見える「銀箔」です。ごまめ糖は、おせち料理に定番のごまめをかたどった有平糖と思われ、ほかではあまり銀箔の使用例は見たことがありませんが、魚の皮の銀白色を表現するのに使ったのでしょう。芸が細かいですね。

機関誌『和菓子』27号では、白黒で全頁を公開しています。菓銘、原材料の翻刻付です。是非ご覧ください。

ごまめ糖。原材料に砂糖、挽茶、銀箔とある。
羊羹、外郎など棹物の断面図。
有平糖類の立体図案。