和菓子だより

2020.10.30

パリ店開店5周年記念 銘々皿 昭和60年(1985)

菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。

和紙の銘々皿(森田和紙製)。左上より時計回りに、三代目市川高麗蔵の志賀大七、嵐龍蔵の金貨石部金吉、市川蝦蔵の竹村定之進。

東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく・生没年未詳)の浮世絵作品をモチーフにした銘々皿。これは、昭和60(1985)のとらやパリ店開店5周年記念イベントの際、招待したお客様にお配りしたものです。
イベントは日本文化の紹介を軸に、年中行事と和菓子に関する展示や、製造実演も行うなど、盛大なものでした。海外でも人気のある写楽ならではの、迫力のある役者の表情が目を惹くこの皿の配布も、その成功に一役買ったことでしょう。

当時、初代支配人が社内報に寄せた文章には、「フランス人の嗜好に食い込むのには、かなりの努力を必要としました。(中略)五年前、店を出発する際に皆さんの前で、一日も早くトラヤ・フランスが一人歩きの出来る様努力します、と誓いましたが、残念ながら力及ばず、一人歩きは出来ませんでしたが、一人で立ち上がる力は持てた様に思います。」とあり、和菓子の普及に苦労しながらも、少しずつ手応えを感じ始めた様子がうかがえます。
そのパリ店も、今年で40周年を迎えました。現在では和菓子を召し上がるフランスの方も増え、3世代にわたってご愛顧くださるお客様もいらっしゃいます。先人たちの地道な努力が実を結んだ結果といえるでしょう。 

虎屋赤坂ギャラリーでは、2021411()まで「ようこそ!お菓子の国へ ―日本とフランス 甘い物語―」 展を開催していますので、ぜひお立ち寄りくださいませ。