助惣焼引札 江戸時代
2026.10.02
資料紹介
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。
江戸時代の菓子屋は、どのように店の宣伝をしていたのでしょうか。現在のチラシに近い手法が、引札(ひきふだ)と呼ばれる広告用の摺物(すりもの)です。宣伝のために無料で配布される引札はその場限りのもの。式亭三馬、平賀源内といった有名文筆家が手掛けることもありましたが、良い状態で残された江戸時代の引札は貴重です。

助惣焼引札 316mm×215mm
上の写真は江戸麴町にあった「助惣焼(すけそうやき)」で知られた名店・橘屋助惣の引札。文章は十二代店主が自ら書いたようで、およそ200年12代続く店の歴史と助惣焼の由来とともに、商品と値段も記されています。助惣焼は1つ2文、御膳餡(こし餡)は値段が高めで、通常サイズの並形に加え、大形も作っていました。

絵の右に添えられた文字は「菱川師宣画三代目助惣繁昌図」「華山摹(かざんうつす)」。菱川師宣が三代目の頃に店頭を描き、後世に麴町生まれの画家・渡辺崋山が写したのでは?という想像もふくらみますが、残念ながら江戸が東京となってほどなく橘屋も助惣焼も姿を消し、正確なことはわかりません。幻の江戸名物、助惣焼はどのような菓子だったのでしょうか。
薄紙のような生地で餡を包んでいる(『続江戸砂子』)
助惣に布団を畳む春炬燵(『柳多留』)
饂飩粉を薄く焼いて餡を包む(『守貞謾稿』巻18)
などの記述を参考に再現したのが写真の菓子で、小麦粉生地をクレープ状にして餡を包んでいます。

2026年10月7日(水)~11月30日(月)まで虎屋 赤坂ギャラリー「遊び心で仕掛ける!江戸の菓子屋の宣伝」展
にて今回ご紹介した引札、再現菓子の実物を展示いたします。この機会にぜひご覧くださいませ。
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