虎屋黒川家文書「御出入商人中所附」 宝暦4年(1754)

2026.03.05

菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。

「御出入商人中所附」(おでいりしょうにんちゅうところづけ)は、御所に出入する商人285軒と、御用の開始時期を記した文書です。

表紙によれば宝暦4年(1754)10月の成立ですが、冒頭に「元禄十四巳年 東山院様御在位之時 禁裏様御用人」とあり、東山天皇在位中の元禄14年(1701)時点の御用商人等を記した原本が別にあり、それを宝暦4年に書写したものと考えられています。御所出入が許されたということは、すでに信用や地位を確立していたはずで、京都の商工業の歴史を知る上でも貴重な史料といえるでしょう。

「餅御菓子麪類」の部分です。「虎屋近江」とあるのが虎屋で、後陽成天皇在位中(1586-1611)から御所御用を勤めていたことがわかります。朝廷より官職名「近江大掾(おうみだいじょう)」を頂戴していたため、江戸時代には虎屋近江と名乗っていました。川端道喜、二口屋能登、虎屋近江、桔梗屋土佐、橘屋伊勢が餅と菓子、丸屋市郎兵衛と素麪屋勘左衛門は麵類と素麵を扱っています.

ほかの頁も見てみましょう。

この頁には茶碗焼物類の職人と、御茶師が記されています。音羽焼惣左衛門は京焼の窯元でしょうか。また、御茶師の条に上林峯順、星野宗以、上林三入、辻善徳ら、多数の宇治茶師が並び、宇治茶の隆盛ぶりがうかがえます。

このほかの商売の品目や職業名を抜粋すると、呉服、表具師、絵師、書籍、筆墨、紙、蒔絵師、刀剣、両替、時計、魚屋、八百屋、麩屋、酢屋、豆腐屋、昆布屋、酒屋、油、炭、大工などなど多種多様で、すべてをこのコーナーでは紹介しきれません。全頁の写真及び翻刻は虎屋文庫機関誌『和菓子』11号(有料)でご覧になれます。

 

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