『あじわい』No.231(2026 SUMMER)に寄稿しています
2026.07.06
掲載情報
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。

7月の京都では、1ヶ月にわたり祇園祭のさまざまな行事が繰り広げられます。特に有名なのが豪華に飾られた山と鉾が、「エーンヤラヤー」のかけ声とともに都大路を巡行する山鉾巡行(やまほこじゅんこう)でしょう。
掛軸「祇園祭長刀鉾(ぎおんまつりなぎなたほこ)」は、巡行の先頭を行く長刀鉾の絵で、鉾の華麗な装飾品、鉾に乗った稚児、囃子方(はやしかた)、扇を持った音頭取りたちが、小さいながらも描き込まれています。

祇園祭長刀鉾(絹本着色 460×1990)
作者の久保田金僊(くぼたきんせん・1875-1954)は、京都出身の日本画家であり、百貨店の宣伝部長や舞台美術家としても活躍しました。
虎屋には、金僊から14代店主 黒川光景(くろかわみつかげ・1871-1957)に宛てた書状が何通か残されています。ユーモラスな自画像つきで菓子を贈ってほしいという依頼や、抹茶とともに菓子を楽しむ絵からは、菓子好きで、光景と親しい間柄であったことが感じられます。

自画像が描かれた書状
作品が虎屋に伝わったのも、このような交流が背景にあったのでしょう。祇園祭の時期には、店頭や床の間に飾られていたのかもしれません。
近年は主に京都地区で商品につけるタグや栞のデザインに取り入れられており、お祭の雰囲気を盛り上げています。
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