和菓子だより

2018.10.30

元禄8年(1695)菓子見本帳

菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。

「十一月」
左より「花いかた」「しら藤」「水山ふき」「たつ田餅」「小しきし」

虎屋には、元禄8年作成の菓子見本帳(デザイン帳)が2冊あります。両方とも書名は「御菓子之畫圖(おかしのえず)」ですが、奥書に書かれた作成月や菓子の収録点数に違いがあり、一冊は「十一月」で74点、もう一冊は「八月」で111点となっています。もともと虎屋には「十一月」のほうが伝来しており、他店のものも含め最古の見本帳とされていましたが、平成24年(2012)、「八月」と書かれたものが外部で発見され、収蔵されました。
今の菓子に比べると、白、黄、茶、灰色を中心とした落ち着いた色合いですが、桜の花びらが川を流れる様子を筏に見立てた「花いかた(花筏)」や、散らした小豆の粒が白藤の花を思わせる「しら藤(白藤)」などが見え、現在同様、自然の情景を銘や意匠に取り入れた菓子が多かったことがわかります。なかには、「水山ふき(水山吹)」のように現在まで作り続けられているものも。300年という年月を考えると、感慨深いものがありますね。

表紙(約18×25cm):上から「十一月」、「八月」
『水山吹』:黄色は咲き乱れる山吹を、黒は川の流れを表している。

機関誌『和菓子』23号に全絵図をカラーで掲載しています。ご興味のある方は是非ご覧ください。


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