和菓子だより

2021.06.11

楊州周延「千代田之御表 六月十六日嘉祥ノ図」明治30年(1897)

楊州周延(ようしゅうちかのぶ)による、「千代田之御表(ちよだのおんおもて)※1」のうちの一点で、江戸幕府での嘉祥(かじょう・菓子を食べ、厄除招福を願う行事※2)の様子を描いた錦絵です。
嘉祥の起源は諸説ありますが、室町時代には行われており、江戸時代に幕府や朝廷を中心に盛大な行事となり、民間にも広まりました。幕府では、江戸城の大広間に、2万個を超える菓子が片木盆に載せて並べられ、将軍から大名・旗本などへ下されたといいます。
ただし、もらえる菓子は一人一種類のみで選べません。錦絵には、菓子を手にしているにも関わらず、後ろを気にする人物も描かれています。実際の儀礼でも、好みの品がもらえず悔しい思いをした大名や旗本がいたのかもしれませんね。

羊羹や寄水(よりみず・ねじった形の新粉餅)などが一種類ずつ片木盆に載せられている。

※1 江戸城の代表的な儀礼や年中行事の様子を伝える大判三枚続きの錦絵シリーズ。
※2 嘉祥が行われていた616日は、現在「和菓子の日」となっています。販売商品についてはこちらをご覧ください。