お知らせ

代表取締役社長 黒川光博より 赤坂店開店のご挨拶を申し上げます

平成30年(2018)10月1日、「とらや 赤坂店」が開店いたします。

赤坂店は3年前に休業に入り、長らくご不便をおかけして参りましたが、この度、同じ場所にあらたな建物が完成し、皆様をお迎えする準備が整いました。

昭和39年(1964)の東京オリンピックの年に建てられた9階建ての赤坂店は、その姿から「行灯(あんどん)ビル」と呼ばれていました。周囲にはまだ高層ビルは見当たらず、拡幅工事後に広くなった青山通りで、「行灯ビル」は際立って背が高く見えたものです。その頃の日本は、経済成長を牽引するシンボルにも見えた新幹線や高速道路が相次いで開通し、これから新しい時代が始まるという期待で満ちあふれていました。

半世紀の時が流れて、赤坂店の建て替え計画に取りかかった当初は、高層階のビルを想定していました。しかし、これからの半世紀を思い描けば、私たちの暮らしや世の中の潮流は、かつて赤坂店が建てられた高度経済成長期とはおのずと異なるものになるはずです。

人口が減少し、社会の高齢化が進んでいます。また、これまで以上に、海外からのお客様もおいでくださるようになりました。人と人とのつながりを穏やかに包み込み、ゆったりとした時間を過ごすことのできる場所。和菓子を静かに味わっていただける心地よい場所とは、どのようなものだろう。

ここで、和菓子屋としての原点に思いを致しました。自然や景色を身近に感じながら、おだやかな気持ちで和菓子に触れることのできる、屋根のある空間──。これからの時代の「とらや」の姿は、そのようなものでありたい。上へと伸びる高層ビルではなく、親密で安定した低層の建築に粋を集め、静かにお客様をお迎えしよう。こうした我々の強い思いを、建築家・内藤廣さんが受けとめ、形にしてくださいました。

全面のガラス窓から自然光がはいる店内は、吉野の檜を使い、要所要所に伝統職人の手による黒漆喰壁を設えました。それぞれ伝統的な技法を踏まえながら、あらたな技法を取り入れ、ひとつの店ができあがりました。あたらしいもの、むかしながらのもの。それぞれが互いを引き立てあいながら、あらたな世紀を歩んでゆく──これからの「とらや」もそのようでありたいと願っています。

そのほか、ここにはお伝えしきれない、さまざまな趣向をこらし、皆様をお迎えいたします。ぜひ一度、あらたな「とらや 赤坂店」にお立ち寄りくださいますよう、心よりお願い申し上げます。
 

虎屋17代
代表取締役社長 黒川光博

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