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歴史上の人物と和菓子

今も昔もお菓子好きはいるものです。歴史上の人物にまつわるお菓子のエピソードを連載しています。

※ お菓子の画像はイメージです。お問い合わせは菓子資料室 虎屋文庫までお願いいたします。

2018.05.16

津軽寧親とカステラ

カステラ鍋(吉田コレクション)。蓋の上に炭団を置いた黒い跡がみえる。

家格上昇の功労者

今回の主人公、津軽寧親(つがるやすちか・17651833)は江戸時代後期の弘前藩主です。分家の黒石津軽家に生まれ、黒石領4,000石を相続していましたが、本家8代信明の急死に伴い、寛政3年(1791)より34年間にわたり弘前藩主をつとめました。ロシアの南下に対する警備のため兵を蝦夷(北海道)に派遣した功績から、弘前藩をそれまでの倍以上となる10万石に家格を上昇させた、津軽家の功労者ともいえる人物です。

大名お手製の菓子

実は寧親は菓子好きで、弘前藩主時代によく贈り物にしていたことが、手紙の記述から分かります。

たとえば、黒石藩主、津軽親足(ちかたり)からの手紙には、「糟ていら(=カステラ)」をもらったことの御礼が述べられています。なんとこの菓子は寧親の「御手製」だったとのこと。当時はオーブンがなかったため、生地を流した鍋を下から熱するとともに、金属の蓋の上に炭団(たどん)を置いて、上からも熱を加えて焼いて作っていました。大名である寧親が1人で菓子作りの全工程を行っていたとは考え難いとはいえ、親足の手紙には、「結構」な出来栄えで恐れ入ったとあるので、その腕前はなかなかのものだったことでしょう。

おもしろいことに、菓子を通じた交流もあったようで、福山藩主阿部正倫(あべまさとも)からの手紙には、寧親からもらうだけではなく、自身のお手製の菓子を贈っており、腕前の上達ぶりを互いに褒めあっていたような記述が見られます。この菓子がどのようなものかは分からないのですが、自分で作って楽しむだけでなく、切磋琢磨する藩主の姿が想像され、ほほえましく感じます。

ほかにも寧親と菓子をめぐる多くのエピソードがありますので、詳しくは、虎屋文庫刊行の機関誌『和菓子』25、岡崎寛徳先生による「大名の手製菓子と贈答―弘前藩主津軽寧親と地縁・血縁関係者―」をご一読くださいませ。

 

※この連載を元にした書籍  『和菓子を愛した人たち』(山川出版社・税込1944円)が刊行されました。是非ご一読くださいませ。(2017年6月2日)

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