歴史上の人物と和菓子

今も昔もお菓子好きはいるものです。歴史上の人物にまつわるお菓子のエピソードを連載しています。
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2010.08.16

藤原道長と蘇

蘇(再現)

藤原氏の全盛期を築く

平安時代の貴族、藤原道長(ふじわらのみちなが・966~1027)は、娘たちを天皇に嫁がせることで絶大な権力を握り、摂政(せっしょう)・太政大臣(だじょうだいじん)に上り詰め、藤原氏の全盛期を築きました。また、学問や文芸にも造詣が深く、和歌も多数残しています。

牛乳を使った「蘇(そ)」

平安時代、貴族の間では、唐菓子(とうがし)など、中国からもたらされた食べ物がもてはやされました。牛乳を原材料にした「蘇」もその一つ。作り方は諸説ありますが、牛乳を煮詰めて固めたものともいわれます。焦げないよう牛乳を何時間もかけてゆっくり煮詰める作業は大変手間がかかり、わずかな量しかできないため、限られた人々しか口にできませんでした。 宮中の医療をつかさどる典薬寮(てんやくりょう)が乳牛を管理していたため、蘇はもともと薬と見なされていたようです。道長も、51歳で大病を患った時に、蘇と蜜を合わせたとされる「蘇蜜煎」を服用しています。

平安時代のデザート?

また、大臣が催す大饗(だいきょう)という饗宴では、甘栗と組み合わせた「蘇甘栗」が宮中から届けられる決まりとなっていました。この使者は「蘇甘栗使」と呼ばれ、饗宴に到着すると丁重にもてなされたといいます。滋養のある蘇と甘い栗の取り合わせは、デザートのように楽しまれていたのかもしれません。 道長は、寛仁元年(1017)、太政大臣の位についた際の大饗で、宮中から蘇甘栗を賜っています。権力の絶頂期にあった道長は蘇をどのような思いで食べたのでしょうか。興味深いところです。

※2010年7月23日~9月20日開催の、夏の特別企画「和菓子の歴史」展では、「蘇」や「唐菓子」などを再現し、展示をしました。

※この連載を元にした書籍  『和菓子を愛した人たち』(山川出版社・税込1944円)が刊行されました。是非ご一読くださいませ。(2017年6月2日)

参考文献:

「小右記」(東京大学史料編纂所編『大日本古記録』岩波書店)

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