歴史上の人物と和菓子

今も昔もお菓子好きはいるものです。歴史上の人物にまつわるお菓子のエピソードを連載しています。
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2005.04.16

寺田寅彦と金平糖

物理学と金平糖

物理学者・寺田寅彦(1878~1935)は、夏目漱石に俳句を学び、『吾輩は猫である』の水島寒月のモデルとなったといわれる人物です。バイオリン、絵画、写真と幅広い趣味を持つ才人でもありました。
その文才は漱石にも認められ、数多く残した随筆には現在も多くのファンがいます。 窓ガラスの氷の模様や水の波紋についてなど、日常生活の中に潜む「物理学」に着目したものは、寅彦の独壇場といえるかもしれません。中でも金平糖の角がどうしてできるか、というテーマはお気に入りだったのか、「金平糖」のタイトルの随筆をはじめ複数の作品の中で言及しています。

角のできるまで

金平糖は、斜めに回転する鍋の中で、芯(グラニュー糖や、いら粉など)に砂糖蜜を少しずつかけて作ります。2週間もかけて結晶を大きくしていく大変な作業です。角が生まれるのは、はじめに偶然できた凸凹の、尖った部分がへこんだ部分より早く成長するためと考えられています。寅彦は、どういった条件が重なるとこうした現象が起こるのか、また、角の大きさや数はどのようにして決まるのかなどを、学問として興味深い問題であるとし、当時チョコレートなどに押されてあまり見かけなくなった金平糖について、なくなってしまわないように保存を考えて欲しいとまで記しています。
実は寅彦はお菓子代わりに砂糖をなめ、試験前にはその量が増えたというほどの甘党でした。金平糖について考察したのも、あながち学問的興味だけではなかったかもしれません。

※この連載を元にした書籍  『和菓子を愛した人たち』(山川出版社・税込1944円)が刊行されました。是非ご一読くださいませ。(2017年6月2日)

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