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歴史上の人物と和菓子

今も昔もお菓子好きはいるものです。歴史上の人物にまつわるお菓子のエピソードを連載しています。

※ お菓子の画像はイメージです。お問い合わせは菓子資料室 虎屋文庫までお願いいたします。

2004.08.16

幸田露伴と菓子製法書

製法書『菓子話船橋(かしわふなばし)』と『御前菓子秘伝抄(ごぜんがしひでんしょう)』

『五重塔』の文豪

幸田露伴(1867~1947)は明治から昭和前期にかけての小説家で、代表作『五重塔』は今も読み継がれています。現在では幸田文の父、青木玉の祖父といったほうがピンと来る方もいらっしゃるかもしれません。学生時代から図書館に通い、仏典や江戸時代の雑書を読み漁ったといわれ、また釣りを始めとして多趣味でもあり、その博学ぶりはつとに有名です。

食文化とお菓子

そんな露伴の作品のひとつに「古今料理書解題」があります。主に江戸時代の料理書について簡単な解説を加えたもので、挙げられた書名だけでも79点にのぼります。
菓子については代表的な製法書『菓子話船橋(かしわふなばし)』(1841)ほか7点があげられています(2点は書名のみ)。版本としては初の菓子製法書である『御前菓子秘伝抄(ごぜんがしひでんしょう)』(1718)には「一寸良き本なり」のコメントがつき、楽しんで読んだのではないかと想像もふくらみます。また『蒸菓子雛形并仕立方(むしがしひながたならびにしたてかた)』(1850)は現在所在が確認されていませんが、幕府御用も勤めた江戸の金沢丹後という菓子屋の製法書のようです。どこかにひっそり保存されているのでしょうか、是非実物を見てみたいものです(同店の菓子絵図帳『雛形帳』(1868)は昭和になって出版されましたが、製法は書かれていません)。

文末、露伴は中国の料理書も含め、取り上げなかった本や自分が目を通していない本について記したあと、料理のことばかり書いて食いしん坊だと思われるかもしれないが、と前置きして執筆の経緯について次のように言っています。かつて重い病気をした後に難しい本を読むことを禁じられたために「平易なる書物に目を晒せしが」、その時に読んだものをもとに書いたのである、と。露伴にとっては、これらの文献は娯楽小説のような軽い読み物だったのでしょう。まさに博覧強記の面目躍如、といったところです。

※この連載を元にした書籍  『和菓子を愛した人たち』(山川出版社・税込1944円)が刊行されました。是非ご一読くださいませ。(2017年6月2日)

 

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