歴史上の人物と和菓子

今も昔もお菓子好きはいるものです。歴史上の人物にまつわるお菓子のエピソードを連載しています。
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2004.04.16

聖一国師と酒饅頭

「国の師」と慕われた禅僧

国師とは国の師を意味する称号で、日本では鎌倉時代の高名な禅僧、聖一国師(円爾・えんに・1202~80)に初めて贈られています。宋(中国)で学び帰国した聖一国師には、深草上皇、亀山上皇、北条時頼、謝国明をはじめとする多くの人々が帰依しました。また国師は、博多の承天寺や京都の東福寺などに開山として招かれています。

饅頭伝来

和菓子の代表格といえる饅頭ですが、ルーツは中国。中でも米麹を使った酒饅頭の製法を日本に伝えたのが、聖一国師だという伝承があります。
仁治2年(1241)、博多に滞在中だった聖一国師は、茶屋の栗波吉右衛門に、宋で習得した饅頭の製法を教えたといいます。これが酒饅頭の始まりとされ、吉右衛門の茶店の屋号から虎屋饅頭とも呼ばれました。当社所蔵の御饅頭所看板は、聖一国師が書いて吉右衛門に与えたとされるものです(吉右衛門の店と当社との関係は不明)。
饅頭の生地や麺を作るには、小麦を挽いた粉が必要ですが、東福寺には宋の寺院で茶や小麦粉を挽いていた水車の図が残されています。これは聖一国師直筆の詳細な図で、国師と饅頭との関わりを想像させます。
ちなみに承天寺では国師が中国から「羹・饅・麺」をもたらしたとして、今も命日に羊羹、饅頭、うどんをお供えしています。
このような伝承の背景として、禅僧が中国から様々な技術や習慣ももたらしたことが挙げられます。食事と食事の間に食べる軽食の点心もその一つ。饅頭のほか羊羹やうどんも点心として日本に伝わり、次第に材料や味が変化して現在の形になったと考えられています。

※この連載を元にした書籍  『和菓子を愛した人たち』(山川出版社・税込1944円)が刊行されました。是非ご一読くださいませ。(2017年6月2日)

 

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