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歴史上の人物と和菓子

今も昔もお菓子好きはいるものです。歴史上の人物にまつわるお菓子のエピソードを連載しています。

※ お菓子の画像はイメージです。お問い合わせは菓子資料室 虎屋文庫までお願いいたします。

2004.01.16

鳥居清長と松風

鳥居派の美人画絵師

江戸本材木町に生まれた清長(1752~1815)は、鳥居清満に師事し、初めは清満風の役者絵を描いていました。やがて美人画を手がけるようになり、天明期(1781~1789)には、後に「清長風」と呼ばれる八頭身の美人画に独自の様式を確立しました。その描線の美しさには定評があります。清長は、美人画で一世を風靡する以前、黄表紙の画工としても腕をふるっていました。黄表紙とは大人向けの草双紙の一種で、現在の漫画に近い読み物をいいます

擬人化された干菓子

『名代干菓子山殿』(1778)も、清長による黄表紙の一つです。作者の名前は記されておらず、清長が作も手がけたのかもしれません。主人公の小落雁は、主人干菓子山殿の秘蔵の茶碗を悪党金平糖に盗み出され、恋人の松風とともに茶碗奪回の旅に出る・・・というストーリー。登場人物はすべて擬人化された菓子で、干菓子山殿は東山殿(8代将軍足利義政)のひっかけ、かす寺(カステラ)の住職が羊羹和尚という具合に全編シャレのかたまりで、菓子好きには堪えられない物語です。

全国の松風

小落雁の恋人「松風」も、もちろん菓子の一種。生地の表面に芥子や胡麻を振って焼いたものです。裏にはなにもないところから「松風ばかりでうら(裏)寂しい」のシャレでつけられた名前といわれます。全国に「松風」の名のつく菓子は多く、京都の味噌松風を筆頭に、カステラ風、煎餅風などバリエーションもさまざまですが、表面の芥子や胡麻は共通しています。物語の登場人物(菓子)は30人近くにのぼりますが、その描写は実に細かく、清長は甘党だったのかなと思わせるます。ヒロインに松風を選んだのは、名前の響きの良さもさることながら、お気に入りのお菓子だったためでは、などと想像もひろがります。

※ 虎屋文庫では2000年にこの黄表紙をテーマに展示を開催しました。

※この連載を元にした書籍  『和菓子を愛した人たち』(山川出版社・税込1944円)が刊行されました。是非ご一読くださいませ。(2017年6月2日)

 

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