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歴史上の人物と和菓子

今も昔もお菓子好きはいるものです。歴史上の人物にまつわるお菓子のエピソードを連載しています。

※ お菓子の画像はイメージです。お問い合わせは菓子資料室 虎屋文庫までお願いいたします。

2003.04.16

岩崎小弥太とゴルフ最中

大正15年に発売

虎屋にはゴルフボールをかたどった最中、 ホールインワンがあります。とてもモダンな意匠ですが、大正15年(1926)発売という案外古い歴史をもったお菓子です。
実はその誕生には、大正から昭和にかけて 活躍した三菱財閥の総帥、岩崎小弥太(1879~1945)が関わっています。三菱グループのひとつ小岩井農牧の元社長赤星平馬氏 (1906~1993)は、「ゴルフもなか談義」(『湘南』通巻27号1971.4)で、小弥太の妻 孝子夫人の話として次のように書いています。

経済界のリーダーと内助の功

広い人脈を持っていた岩崎小弥太社長は、 宮家、陸海軍の将軍、それに外国の賓客などを自邸に招いて宴会を開くことをたいそう楽しみにしていました。その際招待客を喜ばせ、 夫を満足させることに心を砕いたのが孝子夫人でした。
ある時、三菱各社の幹部を集めたパーティーが開かれることになりました。夫人は、お客様をびっくりさせる工夫をと、ゴルフ形のお菓子を考えつき、早速日頃行き来のあった虎屋に注文して作らせました。当日、お客様 たちが宴席につくと、ゴルフボールの箱が置いてありました。当時ボールは大変高価なものでしたから皆大喜び。ところが蓋を開けると、お菓子だったので大笑いになり、宴は大成功だったということでした。

「ゴルフ」って何だろう?

実は、注文を受けた虎屋では、この菓子を作るのにかなり苦労したようです。その頃ゴルフは現在のように浸透しておらず、ゴルフボールを見たことのある店員すらいませんでした。とりあえず木型をあつらえて、押物や羊羹製(こなし)生地で作ってみましたが、質感を出すのが大変で、苦心さんたんした末にやっとお届けできたそうです。
その後、より簡単に作れるようにと工夫されたのが最中で、これを虎屋で販売することになりました。現在もご好評をいただいている「ホールインワン」のはじまりです。
意匠としても面白いゴルフボールを、和菓子にするというアイディアは、大正時代から色あせることなく、今も人々を感嘆させているといえましょう。

※この連載を元にした書籍  『和菓子を愛した人たち』(山川出版社・税込1944円)が刊行されました。是非ご一読くださいませ。(2017年6月2日)

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