歴史上の人物と和菓子

今も昔もお菓子好きはいるものです。歴史上の人物にまつわるお菓子のエピソードを連載しています。
※ お菓子の画像はイメージです。お問い合わせは菓子資料室 虎屋文庫までお願いいたします。

2002.11.16

森鴎外と饅頭茶漬け

「舞姫」で知られる文豪

現在の島根県に生まれた森鴎外(1862~1922)は、「雁」「山椒大夫」などの名作を残した明治の文豪です。代表作のひとつ「舞姫」を学校の教科書で読まれた方も多いのではないでしょうか。
軍医としても業績を残しており、どちらかといえば硬派な印象ですが、一方で妻子に対する大甘ぶりも知られています。

意外な好み…

さて、潔癖症で果物も野菜も決して生では食べなかったという鴎外の意外な好物が、タイトルの饅頭茶漬けです。長女の森茉莉はエッセイ(『貧乏サヴァラン』ちくま文庫より)の中で鴎外が「つめの白い清潔(きれい)な手でそれを四つに割り、その一つを御飯の上にのせ、煎茶をかけてたべるのである。」と記しています。また、次女の小堀杏奴『晩年の父』にも、やはりその話が登場します。

そのお味は?

真っ白なご飯の上の饅頭からのぞく薄紫の餡、緑に透き通る煎茶の色…。鴎外のイメージとのミスマッチもあいまって、なんとも不思議な食べ物に思えますが、実際に試された方によれば、意外にさっぱりと美味しく食べられ、言葉から受ける印象ほど奇妙ではないそうです。
森茉莉は先の著作の中で、その味についてこう記しています。「父とたべた想い出もあるが、支那のお菓子のようだったり、淡白(あっさり)した、渋いお汁粉のようだったり、どっちも美味しい。」
一度、作ってみるのも一興かもしれません。

※この連載を元にした書籍  『和菓子を愛した人たち』(山川出版社・税込1944円)が刊行されました。是非ご一読くださいませ。(2017年6月2日)

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