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歴史上の人物と和菓子

今も昔もお菓子好きはいるものです。歴史上の人物にまつわるお菓子のエピソードを連載しています。

※ お菓子の画像はイメージです。お問い合わせは菓子資料室 虎屋文庫までお願いいたします。

2001.06.01

源頼朝と十字

笑顔饅

我が子の祝いに饅頭配り

源頼朝 (1147~99) は鎌倉に幕府を開き、700年近い武家政治の基礎を築いた人物です。武士の尊敬を集める一方、冷徹な権力者としての一面を持ち、また恐妻家としても知られ、その性格は複雑です。

頼朝は建久4年 (1193) 5月、富士山麓で大規模な巻狩 (まきがり) を行いました。この時、長男の頼家が鹿を射ったことを祝い、参加した将士に「十字 (じゅうじ)」を配っています。

十字とは蒸餅 (じょうへい) のことで、饅頭の異名だと、江戸時代の図説百科事典『和漢三才図会』にあります。名称の由来は、食べやすくするために、蒸した餅の上を十文字に切り裂いたからだといいます。鎌倉時代、中国から饅頭や羊羹がもたらされているので、頼朝が饅頭を配ってもおかしくはありません。

しかし十字の実態はよくわからないのです。蒸餅が饅頭だというのも、合点がいきません。中国で餅 (ピン) は小麦粉食品の総称なので、饅頭に通じさせているのでしょう。

和漢三才図会

鎌倉時代の宗教家日蓮は、十字を「満月の如し」と形容しているので、平たく丸い形だったことがわかります。ただ製法や餡の有無など不明な点が多く、同時代の文献に登場する饅頭との異同もよくわかりません。しかし後世、饅頭と十字が同一視されるようになるのも事実で、饅頭に朱点を打つのは、十字の遺風といわれています (『嬉遊笑覧』)。現在でも虎屋の「笑顔饅 (えがおまん)」のように朱点を打った饅頭があります。

※この連載を元にした書籍  『和菓子を愛した人たち』(山川出版社・税込1944円)が刊行されました。是非ご一読くださいませ。(2017年6月2日)

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