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お菓子をめぐる物語

第6回
生姜入焼菓子『残月』

いま来むと言ひしばかりに長月の 有明の月を待ちいでつるかな(百人一首 二十一番/素性法師)

夜空に煌々と輝く月は美しいものですが、明け方の空に残る月もなんとも言えない風情があります。こうした月は、古来「有明月」「残月」とよばれ、和歌や俳句にもよく詠まれてきました。

とらやで通年でおつくりしている焼き菓子『残月』は、そんな明け方の月を思わせるお菓子です。どら焼きに似た形ですが、少しかための皮と生姜の風味が特徴で、表面に薄く引かれたすり蜜は、月にかかる薄雲を思わせます。

ふっくらした半月状の形は、楕円に焼きあげた生地に餡を乗せ、二つに折りたたんでつくります。銅板で焼いた皮がまだ熱いうちに手にとり、餡を挟んで成形しなければ、皮がかたくなりヒビが入ってしまいます。職人は熱さに堪えつつ、一つひとつ丁寧におつくりしています。

中に挟まれているのは、“飴餡”と呼ばれる、しっとりとしたこし餡。水飴を加えておつくりするため、通常のこし餡よりも、なめらかで濃厚な味わいが生まれます。

仕上げに、刷毛を使って両面にすり蜜を引くことで、薄雲をまとったような姿となります。この作業は、一見簡単そうに見えますが、繊細で美しい蜜が引けるようになるには時間がかかり、熟練の技が必要です。

素朴な見た目ながらも、職人が丹精込めておつくりする『残月』。袋を開けた時にほのかに香る生姜にも、食欲がそそられます。ぜひ、空に浮かぶ「残月」に思いを馳せながら、お召しあがりください。

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