とらやの小話

虎にちなんだ、
とらやの小話を
ご紹介します。

「とらや」の屋号の由来

「とらや」という屋号の由来は諸説あります。そのひとつは、代々店主を務める黒川家が信仰している毘沙門天(びしゃもんてん)にゆかりの深い動物が「虎」であること。毘沙門天は富徳富貴の神で、寅の年、寅の月、寅の日、寅の刻に生まれたとされ、寅の日が縁日となっています。虎の力強さや勇猛果敢な姿にあやかりたいという願いも込められていたのかもしれません。

とらやの手提げ袋

手提げ袋のデザインは、安永5年(1776)作の雛井籠(ひなせいろう)に由来しています。蓋と五段重の各段に虎が描かれた雛井籠は、宮中に雛菓子をお届けするための重箱として使われていました。昭和45年(1970)、当時虎屋に勤務していた工芸家の永井鐵太郎氏が、このデザインを手提げ袋に取り入れました。これ以降、若干の変更を加えつつ、現在に受け継がれています。なお、雛まつりの季節には、雛井籠を模した紙箱に雛菓子を詰めて販売しています。

「やらと」の暖簾

店先で、小さなお子様が「やらと」と読んでいらっしゃる、微笑ましい姿をお見かけすることがあります。本来日本語は縦書きを右から左へ読むため、昔は横書きも縦書きと同様、右から書いていました。ところで、この「とらや」の暖簾ですが、実は筆者が誰なのかはっきりしていません。現在の書体は昔から伝わる書体を何度か調整し、太さや文字の間隔が整えられてきたものです。大正14年(1925)の店頭風景の写真には、現在のものとよく似た暖簾が写っています。

千里起風

暖簾の右端には「千里起風(せんりきふう)」の印判が押されています。これは「虎は千里往って千里還る」「虎嘯(うそぶ)けば風騒ぐ」という2つのことわざを合わせた造語のようです。風を切って走る勇猛果敢な虎に、躍進への願いを托したのではないでしょうか。なお赤坂店では、風を切って走る虎の躍動感を、黄と黒の虎斑模様で意匠化した、「千里の風」という特製羊羹を販売しています。

とらやといえば、「羊羹」

ありがたいことに、「とらやといえば羊羹」とおっしゃっていただくことがあります。虎屋で最も古い寛永12年(1635)の御用記録には、すでに「やうかん(羊羹)」が見え、現在の代表商品である、小倉羊羹『夜の梅』も江戸時代からおつくりしています。また、江戸時代のお菓子の見本帳には、元禄8年(1695)のものを始め羊羹のデザインが数多く見え、なかには『雲井の桜』『新更科』など、現在「季節の羊羹」としておつくりしているものもあります。こうしたデザインは明治時代以降も考案されており、たとえば毎年販売する干支の羊羹や、歌会始のお題にちなんだ羊羹の図案は社員から募集しています。
このように、とらやでは歴史あるものから最新のデザインまでさまざまな羊羹をおつくりしており、これが「とらやといえば羊羹」と呼ばれる理由かもしれません。

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