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お菓子をめぐる物語

第1回
小倉羊羹『夜の梅』

とらやを代表する商品のひとつ、小倉羊羹『夜の梅』。
菓銘(菓子の名前)は、今から300年以上も前の元禄7年(1694)の古文書に見ることができ、羊羹の銘としての最初の記録は、200年ほど前の文政2年(1819)です。

菓銘に「梅」を謳っていますが、梅味ではありません。では、なぜ菓銘に「梅」の文字が入っているのでしょうか。
それは、羊羹の断面に見える小豆の粒が、夜の闇に咲く梅の花を思わせることに由来します。
暗闇に、おぼろげに見える梅の花、どこからか甘い香りが漂ってきそうな情景が浮かびます。

『夜の梅』は、植物性の素材のみでつくられています。北海道産の小豆、長野や岐阜でつくられる糸寒天、そして白双糖(砂糖)の3つのみ。シンプルな原材料だからこそ、良質のものを厳選しています。

小豆は、「和菓子のいのち」である餡のおいしさを左右する大切な原材料です。とらやでは、北海道十勝産の「エリモショウズ」という品種を使用。十勝は昼夜の気温差が大きいため、風味が豊かで、色艶、舌触りの良い上質な小豆が育ちます。

糸寒天は、雨や雪が少ない寒冷な山間地である長野県伊那地方・岐阜県恵那地方の指定工場にて、昔ながらの製法でつくられています。特性が異なるいくつかの種類の海藻(テングサ)をブレンドし、とらやが指定する硬度、粘度等に仕上げていただいています。

白双糖は、結晶が大きく、純度が高い砂糖です。白双糖を使うことで、後味の良さが生み出されます。

これらの厳選した原材料を使用し、手間を惜しまず3日間かけて羊羹をつくります。
1日目は、小豆を煮て、羊羹専用の餡をつくります。2日目は、その餡に煮溶かした寒天と砂糖を加え、じっくりと煉りあげていきます。そして、3日目にかけて羊羹を固めます。羊羹を攪拌する工程など、安定性や持続性が求められる部分には機械を使用しています。一方で、羊羹の煉り具合の見極めなどは、熟練した職人が「えんま」と呼ばれる大きなしゃもじから滴る羊羹の垂れ具合をみて判断します。要所では熟練した職人が五感を使って細やかな按配をしているのです。

このようにしてつくられた『夜の梅』には、しっかりとした食感や後味のよい甘さがあります。
とらやの菓子の特徴は「少し甘く、少し硬く、後味よく」と表現されますが、その象徴が『夜の梅』といえるでしょう。

とらやの羊羹のおいしさを味わっていただく食べ方としては、8分(約2.4cm)の厚さに切っていただくことをおすすめしていますが、お好みの厚さや形、いろいろな食材との取り合わせでもお試しください。たとえば、ダイス状にカットして、ピックでつまみながら、コーヒーと合わせて召しあがるのはいかがでしょうか。また、薄くスライスして、クリームチーズと一緒にクラッカーなどにのせると、少し贅沢な夜のデザートにもなります。小説家・エッセイストの開高健氏(1930~1989)は、『夜の梅』とスコットランドのシングルモルトウイスキー「マッカラン」のペアリングを楽しんだ、という小話も残っています。
ぜひ、お好みの組み合わせを見つけてください。

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