経営はいつも安定していたわけではなく、何度も危機に見舞われました。それを救った
のは、時代の流れをたくみに読み取った、歴代店主の英断でした。現代のリスクマネジ
メントにも通じる、危機克服のエピソードをご紹介しました。
●天明の大火(1788)と不況を乗り切る−9代光利(みつとし)の店内改革−
京都を焼き尽くした天明の大火や、この頃広まった深刻な不況は、虎屋にも大きな影響
を与えました。店主の光利は、「掟書」や「店員役割書(てんいんやくわりがき)」を記して、店
員に徹底した節約と綱紀粛正を呼びかけました。
●天皇が東京へ−明治維新と12代光正(みつまさ)−
明治2年(1869)の東京遷都は、天皇を支えとする京都の人々に、大きなショックを与え
ました。御用商人もその対応に悩み、多くが京都の地にとどまったのに対し、光正は不
慣れな地でのリスクを覚悟の上で、東京にも出店することを決心しました。現在虎屋の
本社が東京にあるのも、もとはといえば光正の決断があったからなのです。
●和菓子屋でもパン?−第二次世界大戦後の混乱を乗り越えて−
深刻な第二次世界大戦後の物資不足の影響で、虎屋も手に入る原材料でパンを作ったり、
喫茶店を開いてコーヒーやココアを販売するという工夫をしました。なぜ和菓子屋なの
にパンが作れたのでしょうか?じつは戦時中、和菓子製造ができなくなることを予想し
た15代店主の武雄が、店員に技術を学ばせていたのでした。
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