歌川広重の「太平喜餅酒多多買(たいへいきもちさけたたかい)」は、江戸で庶民に親し まれていた餅(菓子)と酒が合戦を繰り広げる楽しい錦絵です。鎧兜も菓子にちなんだ蒸籠 や重箱、竹皮で描かれるなど凝りに凝っており、見飽きることがありません。 今回は、ここに描かれた菓子を復元し、多数の絵画資料とともにご紹介いたしました。
東海道五十三次であまりにも有名な歌川広重(1797-1858)が、こんな作品を残していたことは、 意外に知られていません。入り乱れて戦う餅と酒は、いずれも当時実際に江戸で人気のあったも のです。人々はひいきの菓子や酒を見つけて楽しんだことでしょう。
鎧兜にご注目ください。餅軍では羊羹でおなじみの竹皮、重箱・蒸籠などが使われてい ます。また着物の模様も酒軍なら枡やぐい飲みになっているなど、細かく書きこまれた「江 戸の遊び心」。展示ではこの解明に挑みました。
この錦絵に描かれた江戸時代の菓子を復元して展示いたしました。さらに、錦絵をはじめ とする絵画資料や写真パネルを多用して、当時の菓子の姿をお目にかけました。
今回の展示は甘いものだけではありません。徳利や枡、樽に酒瓶など、合戦の相手、酒 の展示コーナーも設け、江戸の酒事情の一端をご紹介いたしました。 折しも10月1日は日本酒の日。辛党の方もご一緒にお楽しみいただけたのではないでしょうか。
展示品:江戸時代の復元菓子約30点、錦絵・版本など。